こんにちは。広島野球速報管理人のtakumiです。

 10月14日、私はスマホに表示された速報を現実として受け入れるのにかなりの時間を要しました。
 今村猛投手に対する戦力外通告。まさか、そんなはずはない。あれだけの投手が、どうして。
 しかし、涙目で答えるインタビューの映像を見た時、現実を受け入れるしかありませんでした。

 今日は、これまでの活躍に敬意を表し、今村投手がカープで歩んだ道のりをこの記事で振り返りたいと思います。

 1年目(2010)2登板(2先発)0勝1敗0H0S4回防御率15.75
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 画像は時事通信より

 清峰高3年時にはエースとして春の選抜を制し、ドラフト1位で入団した期待のルーキーも、体を作るところからプロ野球生活をスタートさせました。8月18日にプロ初登板を先発で果たしますが2回5失点で敗戦投手に。その次の登板でも先発で2回3失点と結果を残せず、登録抹消。そのままシーズンを終え、悔しいルーキーイヤーとなりました。

 2年目(2011)54登板(6先発)3勝8敗13H2S94回防御率4.69
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画像は時事通信より

 昨年の悔しさを胸に迎えた2年目。4月16日にリリーフとして初勝利をマークすると以降は先発として起用されるものの、6試合で0勝3敗と結果を残せませんでした。6月以降は本格的にリリーフに転向し、結果を残すとセットアッパーにも指名されて13H。当時の守護神・サファテ投手の離脱後は代役の抑えを務め、セーブも挙げるなど大車輪の活躍となりました。ちなみに野村謙二郎監督の名(迷)采配として今なお語り継がれている「DH今村」はこの年の出来事です。

 3年目(2012)69登板2勝2敗26H4S85.2回防御率1.89
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 この年は前年に引き続きセットアッパーとして期待されていましたが、序盤は調子が上がらず、防御率も3点台後半と苦しんでいました。転機となったのは5月27日のロッテ戦です。先発の大竹投手がチームの5連敗を止めようと好投し3点差で迎えた9回、守護神のサファテ投手が1点を失いなおも1死満塁の状態でマウンドに登るも、牽制悪送球と内野安打で2失点。チームの連敗は止まらず、大竹投手の勝ち星が消えました。9回終了後にベンチで涙を流す今村投手と、同点にとどめた今村投手をベンチの前で出迎え、そのそばに寄り添う大竹投手が印象的でした。この試合以降、今村投手は覚醒し、29試合連続無失点を達成するなど、リーグ3位の26Hを挙げる大活躍で、翌年のWBC日本代表にも選ばれるなど、球団を代表する選手となりました。

 4年目(2013)57登板2勝5敗18H3S防御率3.31

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画像は日刊スポーツより

 
3月に行われたWBC日本代表にも選出されたこの年ですが、シーズンは前年までの投球回の多さやWBCに選出され休めなかった影響からか精彩を欠き、終盤にはセットアッパーの座を明け渡すなどチームは初のCS進出を果たすも、自身としては悔しいシーズンとなりました。

 5年目(2014)17登板1勝1敗0H0S20.2回防御率4.35
 
この年は開幕一軍を逃すとそのまま調子が上がらず。不本意なシーズンとなりました。

 6年目(2015)21登板1勝1敗1H0S26回防御率3.46
 セットアッパーへの返り咲きを目指したシーズンでしたが、前年に続き本調子とはならず。2年連続で悔しいシーズンとなりました。

 7年目(2016)67登板3勝4敗22H2S73.2回防御率2.44
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画像は時事通信より

 
チームが25年ぶりのリーグ優勝を果たしたこの年、日本シリーズには6試合全てに登板するなど絶対的なセットアッパーとして見事に復活。ジャクソン投手・中﨑投手とともに勝利の方程式を構築しました。

 8年目(2017)68登板3勝5敗17H23S64.1回防御率2.38

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画像は毎日新聞より

 
前年に続き圧倒的な強さで連覇を果たしたチームにおいて、開幕からはセットアッパー、中﨑投手の離脱中には代役の守護神を務めるなど2つの役割をこなし大活躍。この年のオフには自己最高額となる3400万円増の年俸9500万円で契約を更改するなど1億円プレーヤーに大きく近づきました。

 9年目(2018)43登板3勝2敗13H1S38.1回防御率5.17

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 画像は広島東洋カープ公式サイトより

 
チームが3連覇を果たしたこの年、過去2年ほどの圧倒的な投球はできず、不調での登録抹消も経験するなど13Hで防御率は5点台と苦しみました。この年以降、成績は下降線を辿っていくこととなります。

 10年目(2019)27登板3勝1敗4H1S25.1回防御率3.55
 
この年は開幕を二軍で迎え、一軍に昇格したのは7月とかなり出遅れたシーズンとなりました。しかし、昇格してからは11試合連続無失点を記録するなど、3度目の復活も予感させるシーズンでもありました。

 11年目(2020)6登板0勝0敗1H0S4.1回防御率12.46
 
この年は開幕一軍入りを果たすも、本来の投球を披露することはできず、7月5日に登録抹消。9月21日に再昇格するも、1回もたず3失点と打ち込まれ、再び降格となってしまいました。

 12年目(2021)

動画は【球団お墨付き】勝ちグセ。Carpチャンネルより

 
開幕二軍で迎えた12年目のシーズン。一軍の中継ぎ陣が不安定な状態でチームが苦しむ中、今村投手は二軍で必死に腕を振っていました。かつての球威が影を潜める中、変化球を駆使して投球術で好投を披露し防御率は2点台でした。しかし、無情にも10月14日、球団から戦力外通告を受けました。

 通算成績:431登板21勝30敗115H36S501.2回防御率3.46

 
 こうして振り返ると、改めて今村投手がどれだけチームに貢献してきたかがよく分かります。しかし同時に、これほど早く戦力外通告を受けることとなった原因はチームにあることも分かります。高卒2年目・3年目での回跨ぎも当然の中継ぎ起用がその後の今村投手の野球人生に大きく影響したように思えます。この起用によって今村投手が成長したということも充分に考えられますし、実際そうであるのだと思います。ただ、やはりここまでの無茶な起用がなければ、今村投手はまだまだカープで活躍できたのではないかとどうしても思ってしまいます。
これからは、このような起用をせず、有望な若手投手が怪我で苦しんでしまうようなことが起こらないように願うばかりです。
 
 個人的には全盛期ほどの輝きは取り戻せなくとも、今村投手はまだまだ現役で活躍できるのではないかと思っています。今後は未定とのことですがどのような道を選んだとしても、これからもカープファンとして今村投手を応援していきたいと思います。

 そしてもし、引退を決断するのであれば、最後にマツダスタジアムでその勇姿を見せていただきたいと思います。

 今村投手、カープでの12年間本当にお疲れ様でした。そして、数々の感動をありがとうございました。

データ参照